今日は完成した作品を丁寧に梱包して、お手紙を書いて、それらを美術品専用のボックスに入れて発送。

大切な作品がまたひとつ、新しい持ち主のもとへ旅立つ。
この作品は、大切な友人のお母様のもとへ。

よく、作品を手放すのは寂しくないですか?
と聞かれる。

確かに、少しさみしいかもしれない。
でも、もしかしたら意外かもしれないが、というか大抵意外そうな反応を示されるのだが、
これはきっと誰もが想像する範囲を遥かに超えて、嬉しいものなのだ。

はじめて私の作品をお金を出して買いたい、という人に出会ったとき、たしか私は18歳だったが、ほんとうに、涙が出るほど嬉しかった。
そしてそのことにものすごく、びっくりした。

その瞬間まではわたしも確かに、絵を売るなんて考えられない、とさえ考えていたのだ。
画家になりたいと願っていたにもかかわらず、だ。

でもその瞬間、全てが変わった。
そのとき、その瞬間の私の全てを、この目の前にいる人が認めてくれたように感じたのだ。
そして、その人は“ありがとう”と言ってくれた。

これほどの喜びが人生にあるなんて、そのときまで私は思いもよらなかった。
生きていてよかった、と心の底から思った。
自分をはじめて、好きになれたような気がした。

だからどの作品も、どれほど気に入っていても、というか大切な作品であればあるほど、誰かが一生をともにしてもいいと思ってくれることは、私にとって奇跡のようなものなのだ。

さみしい、なんて消し飛んでしまうほどの喜び。

だから私は、今日も描けるのだと思う。

by yukotakada-work | 2012-01-24 20:52 | Comments(0)

<< 床タイルとギャラリーイメージ    体を休める >>